|
||||||
不可解な死に方をした人に、ダーウィン賞というものがでるのだそうだ。 授賞理由というのがおかしい。「最も愚かな方法で死んだ人に対し、バカな遺伝子を減らしたことへの感謝の気持ち」だという。 これは実在の賞らしい。 http://www.darwinawards.com/ しかし、面白い主題なのに、なんか不完全燃焼というか、もどかしさというか、物足りなさが残った。
小さな頃から推理が好きで、希望どおりに刑事になった。 ところが、なんと彼は血液恐怖症で、血を見ると失神してしまう。 犯人を追いつめながら、血を見たので失神し、取り逃がしてしまう。 おかげで刑事はクビになる。 彼が次にむかった職業は、保険の調査員だった。 ダーウィン賞の対象になる人物を、保険金支払いの対象から外せば、保険会社は儲かるというのが売り込みだった。 そのため、不可解な死因をめぐって、調査員のシリ(ドリュー・バルモア)とともに全米を駆け回ることになる。 超高層ビルのガラスは、絶対に割れないということを立証するために、ガラスに体当たりしたら、ガラスはあっさりと割れた。 もちろん彼は外へ飛びだし、地上へと真っ逆さまに、一直線ということになった。 こういった摩訶不思議な事件が、連続する。 一つ一つの事件は、ほんとうにおかしい。 何でこんなことを思いつくのかと、その発想の奇抜さに唖然とする。 どの事件も、人が死んでいるのだから、笑ってはいけないのだが、やはりおかしい事件である。 しかし、映画全体としてみると、イマイチのフラストレーションがたまるのだ。 たしかに個々の事件はおかしい。 有名になりたいために、乗用車にロケットをつんで世界一速く走ったら、山に激突して死んだ男ハービー(デヴィッド・アークエット)など、悲哀にあふれ実におかしい。 しかし、笑えないのだ。 題材はおかしくて、笑おうとして映画を見ているのに、笑わしてくれない。 ずーっと、これが続いたのだ。 やがて、笑いたいフラストレーションがたまってきた。 アメリカ人とでは、笑うタイミングが違うのだろうか。 マイケルの行動を追いかけ、ビデオに撮影して卒論にしたいということで、最初から最後までカメラが彼を追っている。 それが時には面白い効果も与えているが、全体的に見ると失敗だろう。 映画のなかにカメラを持ちこむのは、相対化の視線を目的としているのだろうが、画面が散漫になってしまう。 ビデオ・カメラによる笑いの相対化と、映画の題材の笑いでは、質やリズムが違うので、ちぐはぐな印象になってしまった。 それが画面への観客の没入を妨げていたのかもしれない。 主人公のマイケルは、レイフ・ファインズの弟だし、ヒロインは万引き癖から立ち直りつつあるドリュー・バルモア、ハービーの妻には天才女優ジュリエット・ルイスと、それなりの配役である。 それに死んでしまったクリス・ペンもでている。 それぞれにいわくのある彼(女)等は安いギャラだろうが、芸達者な人たちである。 主題も良い、俳優も良い。なぜか面白くなかった。 「マーズ アタック」や「オースティン パワーズ」など、アメリカには面白い映画があるのに、とても残念だった。 やっぱり面白い映画は、誰にでも作れるものではない。 秀作を撮る映画監督には、あらためて尊敬の念をもった。 2006年のアメリカ映画 (2007.12.12) |
||||||
<TAKUMI シネマ>のおすすめ映画 2009年−私の中のあなた、フロスト/ニクソン 2008年−ダーク ナイト、バンテージ・ポイント 2007年−告発のとき、それでもボクはやってない 2006年−家族の誕生、V フォー・ヴァンデッタ 2005年−シリアナ 2004年−アイ、 ロボット、ヴェラ・ドレイク、ミリオンダラー ベイビィ 2003年−オールド・ボーイ、16歳の合衆国 2002年−エデンより彼方に、シカゴ、しあわせな孤独、ホワイト オランダー、フォーン・ブース、 マイノリティ リポート 2001年−ゴースト ワールド、少林サッカー 2000年−アメリカン サイコ、鬼が来た!、ガールファイト、クイルズ 1999年−アメリカン ビューティ、暗い日曜日、ツインフォールズアイダホ、ファイト クラブ、 マトリックス、マルコヴィッチの穴 1998年−イフ オンリー、イースト・ウエスト、ザ トゥルーマン ショー、ハピネス 1997年−オープン ユア アイズ、グッド ウィル ハンティング、クワトロ ディアス、 チェイシング エイミー、フェイク、ヘンリー・フール、ラリー フリント 1996年−この森で、天使はバスを降りた、ジャック、バードケージ、もののけ姫 1995年以前−ゲット ショーティ、シャイン、セヴン、トントンの夏休み、ミュート ウィットネス、 リーヴィング ラスヴェガス |
||||||
|