タクミシネマ         ダイハード4

ダイハード4     レン・ワイズマン監督

 シリーズも4作目になると、と書きたいところだが、このシリーズは前作を見ていない。
にもかかわらず、ブルース・ウィリスのイメージは、強烈にできあがっている。
前作までを見ていたような気分にさせた。
勘違いとは恐ろしいものだ。

photo of live free or die hard,  justin long, maggie q
imdbから

 ブルース・ウィリスのイメージは、頭は悪いけれどタフな奴である。
それは他の作品にも表れており、「16 ブロック」でもまったく同じ役どころだった。
かつては彼も「シックスス・センス」で、精神科医を演じたりもしたが、やっぱり頭の悪さはぬぐえず、まったくのミスキャストだった。
そのためか、彼のイメージますます固定されてきた。
この映画の役柄なら、演技力も大していらないし、安心してみていられる。


 アクション映画はたくさん撮られており、どれも内容には凝ったものが多い。
このシリーズは彼のキャラクターに負っているだけに、ストーリーなどの内容的に凝ることができない。
それを逆手にとって、身体だけが丈夫な時代遅れのオヤジを、徹底的に打ち出している。
これも1つの行き方だろうが、劇場はいつもと違って、中高年が多いような気がした。

 彼はコンピューターがまったく判らない。
多くのオヤジたちは、コンピューターの判る奴を軽んじたがる。
しかし、彼の良いところは、コンピュータを知っている奴を、きちんと重く評価していることだ。
この映画はコンピュータを知っている奴と知らない奴のコンビが、コンピューター万能の悪人を相手に戦うのだ。
この設定自体が笑える。

 時代遅れのオジサンには、もはやこうした設定しか、残されていないのだろうか。
コンピューターを知ったタフな奴がでてきたら、時代遅れのオジサンの存在価値はどうなるのだ。
今の若者は柔弱だと思われがちだが、オリンピック出場者は若者だらけである。
若いタフな身体とコンピューターは両立するが、時代遅れなオヤジとコンピューターは両立しない。
実に困ったものだ。

 映画としては特別に論じるまでもない。
ただお金がかかっている。
それに尽きる。
ストーリーに驚きがあるわけでもないし、新しい工夫があるわけでもない。
強いて言えば、セピア調の画面と、大々的なクラッシュ・シーンだろうか。
とにかく車がよくぶつかる。
あげくの果てには、車とヘリコプターがぶつかる。

 当サイトとして、ちょっと書いておくべきかも知れないのは、ブルース・ウィリスと渡り合う悪人に女性がいたことだ。
どんな映画でも悪人側に女性はいるが、格闘シーンを演じることは少ない。
この映画では、悪役の恋人マイ(マギーq)が、カンフーを見せる。
様にはなっているが、非力でちょっとウソっぽい。
でも、彼女が格闘に敗れて、無惨な死に方をするのは、男性並みに扱われている証拠だろう。


 女性が格闘技に進出している現在、女性と男性の格闘シーンも、今後はたくさん登場するだろう。
非力な女性でも訓練を受ければ、ヤワな男よりもはるかに強い。
柔道はいうに及ばずボクシングや空手でも、女性が主役を張っている。
アメリカ映画は肉体的にも、強い女性を描いてくるだろう。

 現代女性の自立は、肉体的な頑健さとは関係ない。
が、それでも女性が自立すれば、男性並みの肉体的な強さを要求するだろう。
頭も良く、屈強で、しかも美人で、スタイルも良い。
そんな女性がでたら、ヤワでしかも頭脳に自信のない男性はどうしたらいいのだろうか。
大変な時代になっていく。  2007年のアメリカ映画 
   (2007.7.6)

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